はじめての一本に、三徳包丁
最初の一本は「三徳包丁」がいいと良く聞きます。三徳とは、肉・魚・野菜の3つのこと。幅広い食材に対応できる万能な包丁というわけです。
作りは日本の菜切包丁に西洋の牛刀を組み合わせた、万能な包丁。狭いキッチンでも、これ一本あれば、とりあえず何でもこなせる。そんな日本生まれの包丁は「Santoku」と呼ばれ、今では西洋の家庭でも人気の包丁です。
その後、パン切りナイフ、ペティナイフ、出刃包丁、菜切包丁…など、色々な包丁を揃えてきましたが、結局毎日、ほとんどのことは三徳包丁で事足りてしまいます。
つまり、三徳包丁は日本の台所においては包丁の大黒柱。だから、ヘビーユースに耐えられる一本を選ぶと間違いがありません。
三徳包丁のピカイチ、ヴォストフ
さて、そんな日本のキッチン事情から生まれた三徳包丁ですが、わたしはあえて三徳包丁の逆輸入版ともいえるドイツ・ゾーリンゲンのヴォストフ社(WUSTHOF)の三徳包丁をご紹介したいと思います。
ゾーリンゲンは世界三大刃物生産地。ほかにもヘンケルス、アイクホーンなどの刃物グローバル企業をはじめ、数多くの刃物メーカーが文字通りしのぎを削っています。
そんな厳しい競争の中で一つ飛び抜けているのが、ヴォストフ社。
日本ではヴォストフのキッチンナイフはマイナーですが、世界的にはメジャー。創業は1814年、世界約90カ国で販売されています。それでも、全製品をゾーリンゲン工場のみで生産というこだわりがあります。
ヴォストフ社製の三徳包丁の魅力
では、ヴォストフの三徳包丁のどこが素晴らしいのでしょう。ひと言で言えば、現代の家庭事情によく馴染む仕様だというところです。
- 10年使える
- ヘビーユースに耐える
- よく切れる
- メンテナンスが簡単
- 食材を選ばない
- 食洗機に入れられる
- 切ったあと包丁に食材がくっつきにくい
この条件をすべて満たすのが、「ヴォストフの三徳包丁」なのです。
日本メーカーの三徳包丁との違い
もちろん日本の包丁も大好きです(いずれご紹介します)。用途別では素晴らしい包丁がたくさんありますが、三徳包丁に関して言うと、忙しい家庭で使用することを意識しているような包丁はあまり見受けられません。
日本メーカーの場合、三徳包丁という用途から考えると、繊細な切れ味にこだわりすぎるあまり、三徳包丁に必要な機能が置き去りになっている感があります。
用途別包丁であればそれなりのケアが必要なのはわかりますが、三徳包丁は忙しい毎日の中で使用する万能包丁ですので、時にぞんざい扱いでも耐え、ほとんどノーメンテナンスで、長く使えるものを選びたいもの。それでいて良く切れることも大事です。
たとえば、国産の三徳包丁(高価なラインのもの)の場合ですが、きゅうりの輪切りなどは、カミソリで切るかのように薄く美しく切れるので感動ものですが、アジを捌いたくらいで刃こぼれをすることがあります。うっかり硬いもに刃を当てると刃こぼれしてしまうのです。また、砥石で数段回のメンテナンスをすることが前提にあったり(研ぐ技術がないとかえって使いづらくなるものもある)、そして食洗機に入れることができないものがほとんど(刃が腐食し切れなくなってしまう)です。
逆に機能性を重視した包丁は安価なものが多いのですが、あまり良く切れないというデメリットがあります。
一方、ヴォストフの三徳包丁は強い。ドイツ発ザ・工業製品といった感じです。食洗機に入れてザブザブ洗える。そして、メンテナンスが簡単。専用のシャープナーでシャーシャーとやれば、数秒で切れ味がよみがえる。もちろん、10年以上使っていますが素晴らしい切れ味です。専門的なところでは刃の硬度が58HRCと、そこそこ硬いのですが、そう簡単に刃が欠けません(欠けたことがない)。
クラシックシリーズの場合、包丁の腹にはディンプルがあり、刃と食物の間に小さなエアーポケットを作り出します。たとえば、ジャガイモのようなデンプン質の野菜や切り身を刃から優しく押し出してくれます。食品のくっつき防止機能というわけです。
いい買い物したという満足感
お値段は国産の同クラスのものからすると、倍くらいしますが、満足度が末永く続くことを考えると、決して安い買い物ではありませんが、いい買い物したなと感じています。本当に毎日こんなに酷使しているのに、10年以上びくともしないという事実にこの記事を書きながらふと気づいた次第だったりします。
これからの人生に、ヴォストフの三徳包丁をお供させませんか?
名品の基準 -Amazonで買える名品たち
名品の基準は人それぞれだと思います。職人が作る一点ものこそ名品と言う人もいると思いますが、わたしは規格化されたファクトリープロダクトにも名品としての魅力を感じます。職人が作った一点ものと対話するのも好きですが、顔の見えない工員によって大量生産されたものだからこそできる、自分らしく自由に使い込んでいく良さがあるとも感じています。このシリーズがどれくらい続くか分からないのですが、暮らしのブログが考える名品の基準はこうです。
- 10年以上付き合える
- 壊れても、同じものを買い足せる
- 簡単にモデルチェンジをしない
- こまめにマイナーチェンジをしている
- 機能や品質から溢れ出る美しさがある
- すでに実績や評価がある
- 企業や商品にストーリーやロマンがある
ヴォストフ クラシックアイコン 三徳包丁4176-17
併せて揃えたい三徳包丁用のシャープナー。手前に数回引くだけで切れ味が戻ります。
ル・コルドン・ブルーとのダブルネームモデル ディンプル無し(廃番・在庫のみ)
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